NEXT GIGAで変わる教室──端末使用の「次の段階」と、学びを動かす教材の選び方

全国の小中学校で、「NEXT GIGA」という言葉を耳にする機会が増えています。国が進める「GIGAスクール構想」の第2期を指す呼び名で、いま学校はこの入り口に立っています。第1期と何が違い、これから何が求められるのでしょうか。背景を整理したうえで、これからの教室で使うデジタル教材の選び方までを考えます。

第1期は「配る」、第2期は「使いこなす」

GIGAスクール構想の第1期は、2019年度に始まりました。目的は、ICTを使える環境の土台づくり。児童・生徒に1人1台のタブレットを配り、校内のネットワークを整えることが急がれ、コロナ禍での休校も重なって、全国の学校に一気に端末が行き渡りました。

ところが、配り終えてみると、いくつもの課題が浮かびました。その代表的なものが、端末が数年で古くなりバッテリーが弱ること、回線が不安定で「動画が止まる」こと、そして学校や先生によって活用の度合いに差が出る「活用格差」です。

そこで始まったのが第2期、NEXT GIGAです。2024年度ごろから進むこの段階のテーマは、ひとことで言えば「配ること」から「使いこなすこと」への転換。古くなった端末を計画的に新しいものへ更新し(都道府県単位でまとめて調達する仕組みに変わりました)、回線を強化し、校務のデジタル化や生成AIの活用研究まで含めて、整えた環境を本格的に活用する段階へと軸足を移しています。

「端末で学ぶ」が、当たり前になる

この流れを象徴するのが、全国の小中学生が受ける「全国学力テスト」(正式には全国学力・学習状況調査)の変化です。2026年度から、中学校の英語が、紙の冊子をやめてタブレット端末で解答する方式に変わりました(端末の画面で問題を解くこの方式を、CBTと呼びます)。国は今後、ほかの教科や小学校にもこの方式を広げる方針です。

テストが端末で行われるということは、子どもが日ごろから端末を学びの道具として使いこなせていることが前提になる、ということです。NEXT GIGAが目指す「使いこなす」段階は、もう理想論ではなく、評価の土台として現実に求められ始めています。

それでも、現場には2つの壁がある

とはいえ、「使いこなす」は簡単ではありません。現場には、乗り越えるべき壁が大きく2つあります。

1. 通信環境

ひとつは、意外と語られない通信環境です。端末が新しくなっても、学校のインターネット回線が十分な速さでなければ、クラス全員で教材を開いた瞬間に動きが重くなります。文部科学省が2023年度に行った調査では、国が示した回線速度の目安を満たす学校は<b>全体の約2割程度</b>にとどまると推計されました。とくに児童・生徒数の多い大きな学校ほど厳しく、多くの学校は回線を他の利用者と共用する契約のため、混み合う時間帯は速度が落ちやすいのです。「全員で一斉に開くと途端に重くなる」という状況は、児童・生徒の集中力を奪い、授業の進行を妨げてしまいます。

2. 授業での使われ方

もうひとつが、授業での使われ方です。端末の性能がどれだけ上がっても、その端末で使う教材が「紙のプリントをPDFにしただけ」のものなら、学びの中身は従来と変わりません。今までの端末の使用方法では、調べ物やドリルに偏りがちだという声も多く聞かれました。はたして、同じような使いかたのままでよいのでしょうか。

デジタル端末を使った学習の利点を十分に取り入れてこそ、NEXT GIGAの目指す「使いこなす」段階に到達できます。どんな教材を選び、どう授業に取り入れるか。ここに、次の段階にアップデートするカギがあります。

教材選びの3つのチェックポイント

では、その教材はどう選べばよいのでしょうか。私たちは次の3点を確認することをおすすめしています。大切なのは、現場の事情をふまえた教材選びをすることです。

① 回線が遅くても動くか。

理由は、先ほどの「国の目安を満たす回線の学校は約2割」というデータです。大きなデータ通信を前提にした教材は、全員が一斉に開くと止まりやすく、止まれば授業が中断します。データ量が軽く、全員が同時に開いても耐えられる作りかどうかが、分かれ目になります。

② インストールや登録の手間がないか。

根拠は、45分という授業時間の制約です。全員のログインだけで数分が消え、教材を開く前に集中が切れてしまう──これは珍しい光景ではありません。ブラウザで開くだけで始められるかどうかが、使われる教材と使われない教材を分けます。

③ 子どもが説明なしで操作できるか。

根拠は、先生の負担とクラス全体の進み方です。操作説明に時間がかかると、先生が一人ひとりの「どうやればいいの?」に対応するうちに授業が止まります。直感的に触れる教材なら、子どもは自分で進められ、先生は学びの中身を見ることに時間を使えます。

この3点は、教材の「中身の良し悪し」以前の条件です。どれだけ内容が優れていても、この3つを外した教材は、残念ながら教室では使われません。

まずは「動かして考える」教材に触れてみる

では、どんな教材を取り入れればよいか。おすすめは、インタラクティブ教材を、導入や授業終盤の5分だけ使ってみることです。算数なら、立体を画面で回して断面を見せてから、紙のノートでの作図に戻る。理科なら、実験を実際に行ったあと、その日のまとめとしてシミュレーションでもう一度確かめ、実験の振り返りをする。デジタルと現実を行き来させ、「何度も動かして納得する」体験ができると、子どもの理解度が深まります。教科書や資料集を見るだけではなく、自分の操作によって画面変化がある。それだけで子どもには良い刺激になります。そしてそれを楽しむ子どもの反応そのものが、次の活用を後押ししてくれます。

【使ってみてください】

教材のイメージをつかんでいただくために、エレファンキューブでは「オープン教材」という無料コンテンツを公開しています。インタラクティブ教材がどのようなものかを試していただくためのもので、ブラウザで開くだけで使用でき、漢字の筆順ツールや、図形を動かす教材、理科のシミュレーションなどを用意しています。まずは先生ご自身のブラウザで触ってみてください。「動かして考える」学びの手ざわりが、言葉よりも早く伝わるはずです。

▼エレファンキューブのオープン教材
https://www.elephancube.co.jp/openedu/

理想の環境が整わなくてもできること

NEXT GIGAは、端末を「配る」段階から「使いこなす」段階への移行です。端末を使いこなし、学びをアップデートするためには、新しい回線や高価な機器そのものよりも、その環境の上で何を動かすか——日々の授業で使う教材の選び方が重要です。十分な環境がまだ整わなくても、教材選びのポイントを押さえれば、いまの教室からできることは必ずあります。新しくなった端末の上で何を動かすか。そこから、学びの中身を見直してみませんか。

「こんなものが欲しい」と思ったら

既製の教材で合うものが見つからないときは、教材を制作することもできます。エレファンキューブは2008年の創業以来、学校・企業向けに毎年200件を超える教材制作を手がけてきました。ドリルやクイズ形式から、シミュレーション型のコンテンツ、教育系アプリの開発まで対応しており、「この単元のここだけ、動く教材にしたい」という部分的なご相談も大歓迎です。自治体・教育委員会・教育事業者のみなさまからのお問い合わせもお受けしています。

是非お気軽にお問い合わせください。

参考情報

・GIGA端末通信環境を調査〜学校規模ごとの推奨帯域示す(教育家庭新聞/文科省2023年度調査)
https://www.kknews.co.jp/post_ict/240506_1a
・【全国学力テスト】2026年度の実施要領を通知…CBT中学英語の実施日程など(ReseEd)
https://reseed.resemom.jp/article/2025/12/10/12260.html

最終更新日: 2026-10-31