内定辞退は「内定式のあと」にも起こる──入社までの6ヶ月を支える内定者フォロー

先月まですぐに返ってきた内定者からの返信が、このごろ少し遅い。懇親会の出欠確認も、まだ届かない。採用のご担当なら、こうした小さな変化にひやりとした経験があるのではないでしょうか。

多くの企業で内定式が行われる10月1日。入社試験や内定者の意思確認、さまざまな連絡などもひと通り完了し、これでいったん一区切り…というタイミングかもしれません。しかし今回は「式のあと」の話をしてみたいと思います。

内定式を超えても発生する内定辞退

内定式を越えればひと安心、と思いたいところですが、式のあとにも辞退は起こります。

辞退が起きるタイミングは、大きく3つに分けられます。内定を出した直後、内定式の前後、そして入社直前の年明けから3月にかけて。数のうえでいちばん多いのは、実は最後の「入社直前」です。他社の選考結果が出そろい、卒業を控えて「本当にこの会社でいいのか」という最終確認が働く時期だからです。ただ、そこだけを注意すれば良いというわけでもありません。辞退のリスクは、内定式の後から入社まで、積み重なる形でずっと続いています。

学生の側から見ると、内定式から入社までの約半年は、長い宙ぶらりんの期間です。学生生活は続いているのに、気持ちは社会人の入り口に立たされている。「本当にこの会社でよかったのか」「社会人としてやっていけるのか」。こうした不安は、会社との接点が無いあいだに膨らんでいきます。

だからこそ、内定式から入社までの6ヶ月をどう使うかが、内定辞退を防ぐカギになります。

懇親会や面談だけでは不十分

多くの会社の内定者フォローは、内定式があって、懇親会があって、ときどき面談がある、という組み立てです。どれも大切な機会ですが、イベント型のフォローには、実は弱点があります。イベントは、その時限りのフォローでしかない、ということです。

ぽつぽつとスケジュールに点を打つようにイベントを配置しても、点と点のあいだには数週間から数ヶ月の空白が生まれます。不安が膨らむのは、まさにこの空白の期間です。しかも、遠方に住んでいたり、卒業論文やアルバイトで忙しいことを理由に、こうしたイベントに参加できない内定者もいます。出欠と当日の表情だけで気持ちの変化を見抜くのは、正直、難しいものです。

点と点をつなぐ「線」を加える

そこでご提案したいのが、eラーニングを使った内定者教育です。1本5〜10分の短い学習コンテンツを、月に数本ずつ届けていきます。テーマは、たとえば次のようなものです。

  • 会社と事業を知る──事業や商品、働く先輩の紹介。配属後の自分を想像する材料になる
  • 社会人の基礎を学ぶ──ビジネスマナーや言葉づかい。「やっていけるか」という不安を和らげる
  • 業界・職種の基礎知識──配属後の学びの助走。学生の「成長したい」という気持ちに応える

なぜ学びが辞退防止につながるのでしょうか。

内定者の抱えやすい不安のひとつに「入社後の自分を想像できないこと」があります。事業を知り、働く人を知り、必要な知識に触れるたびに、入社後の自分の姿が少しずつ具体的になっていきます。想像できる未来は、不安ではなく楽しみに変わります。

もうひとつ、実務的な利点があります。受講の様子が見えることです。毎月届くコンテンツの受講が止まった内定者は、気持ちが離れかけているサインかもしれません。イベントの出欠を待つよりも早く、小さな変化に気づいて声をかけられます。「課題の催促」ではなく「最近どうですか」という自然な連絡のきっかけになるのも、この仕組みの良いところです。

「勉強を押し付けて逆効果にならないか」という心配

とはいえ、課題やテストを詰め込めば、負担になって逆効果になってしまいます。目安は月に数本、合計30分程度。返信や提出を求めない「見るだけでいい」コンテンツから始めるのが安全です。

それに、「入社までに何をしておけばいいですか」という質問は、採用担当なら一度は受けたことがあるはずです。学ぶ機会を求めているのは、むしろ内定者の側でもあります。

たくさんの課題やテストは必要ありません。大切なのは、小さな学びをこまめに届けることで**「会社があなたの成長に、入社前から投資している」と伝わること**です。

内定者フォローツール

内定者との接点づくりを支援する「内定者フォローツール」と呼ばれるサービスも、近年増えています。チャットや掲示板、eラーニング、提出物の管理、イベント運営といった機能をひとつにまとめ、人事の運用負担を下げながら内定者の不安解消を支えるものです。方向性ごとに、代表的なサービスをいくつか挙げます。

  • 学習と交流を一体で提供するタイプ──「内定者パック」(プロシーズ)。コミュニケーション機能とeラーニング教材を組み合わせ、不安の解消と社会人スキルの準備を同時に進められる
  • SNS・タイムライン型で日常的な接点をつくるタイプ──「エアリーフレッシャーズクラウド」(EDGE)。先輩社員の様子を閲覧したり人事と直接やり取りしたりできるほか、お知らせの一斉配信や既読管理で連絡業務を一本化できる。「Any See」も同系統で、掲示板や日記に加え、辞退の兆候を知らせるアラート機能を備える
  • LINEでつながるタイプ──「MOCHICA」(ネオキャリア)。学生が日常的に使うLINEと連携した採用管理システムで、内定者との連絡がスピーディーに行える
  • イベント・ワークショップ型──「内定辞退防止くん」(バヅクリ)。組織心理学に基づくプログラムをプロのファシリテーターが進行し、内定者同士の交流を通じて入社意欲を高める

学習に重きを置いているもの、コミュニケーションや横のつながりに重きを置いているものなど、色々なタイプがあります。フォローツールを使うときは、各組織の目的や内定者に合ったものであるかどうかを見極めて選ぶことが肝心です。

まずは小さなことから

「うちはフォローツールを使うほどの規模じゃないから…」「とはいえコストが大きい…」そんな声も多いかもしれません。

フォローツールを使わなくても、コンテンツさえあれば、それを自社のサーバーに置いておいて限定公開のURLを案内することで、視聴してもらうことができます。

内定式で、フォローツールや配信する教材の案内をし、式のあとすぐに配信を始められれば理想的ですが、このスケジュールに間に合わなくても、慌てて準備する必要はありません。フォローは入社まで続くのですから、始まりが多少遅れても価値は変わりません。

教材も、ゼロから作る必要はありません。会社案内、先輩社員のインタビュー、既存のマナー研修資料。手元にある素材を、内定者向けの短い教材に組み替えれば良いだけです。素材を活かせば、制作の費用も期間も抑えられます。

内定者の沈黙は、興味を失ったサインとは限りません。しかし、会社と内定者との接点が少なくなればなるほど、その「沈黙の意味」を知ることはできなくなります。

これからの内定式を、「やって終わり」にせず、「フォローの始まり」にしてみませんか。

すでにツールをお持ちの企業様も、その中で配信する教材づくりから、私たちがお手伝いできます。内定者フォロー教材の制作・導入のご相談は、こちらからお気軽にお問い合わせください。

最終更新日: 2026-10-02