皆さんは、先日発表されたこちらのニュースをご存知でしょうか?
デジタル教科書が正式な教科書に、無償配布へ…改正法案を閣議決定
https://reseed.resemom.jp/article/2026/04/08/12968.html
2026年4月7日、政府はデジタル教科書を紙と同様の「正式な教科書」に位置付け、小中学校などで無償配布の対象とする法律案を閣議決定しました。これまでデジタル教材は限定的な使われ方をしていましたが、この法案が通れば「紙」「紙+デジタル」「デジタル」のいずれの形態も教科書として認められるようになり、2027年4月の施行を目指しているとのことです。
ところで、デジタル教科書の賛否あるけど、実際はどうなの?
このように教育現場のICT化が急速に進む一方で、保護者や教育関係者の間では「やっぱり紙の方が頭に入るのでは?」「デジタルだと読解力が落ちてしまうのでは?」といった不安や賛否の声があるのも事実です。前述のニュースが発表された直後、XなどのSNSは賛否で荒れていました。
結局のところ、デジタルと紙の教材では、読解力にどのような違いがあるのでしょうか?
過去20年のデータを分析した最新論文が示す「答え」
実は、この賛否うずまくテーマに一つの客観的な答えを出してくれている興味深い論文があります。過去20年間(2000年〜2022年)に行われた、デジタル読書と紙の読書を比較した37の実験研究のデータを統合・分析(メタアナリシス)した論文です。
Which reading comprehension is better? A meta-analysis of the effect of paper versus digital reading in recent 20 years
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2772503024000288
まず全体的な結論から言うと、「デジタル」と「紙」の読書で、全体的な読解力に大きな差(統計的な有意差)はありません。
デジタルとアナログの得意・不得意
しかし、データを細かく見ていくと、条件によって両者の「得意・不得意」がはっきりと分かれることが明らかになっています。
学齢による違い
- 幼稚園児や小・中学生ではデジタル読書の方がやや効果が高い傾向がある一方、大学生以上になると紙のテキストの方が有意に読解力が高くなるという結果が出ています。
- 学習段階が上がり、より高度なテキスト理解が求められるようになると紙の強みが出やすくなります。
読む文章の種類と長さ
- 文学的なテキストを読む場合はデジタル読書が優位ですが、1000語を超えるような「中〜長文」を読む場合は、紙の読書の方が理解度が高くなります。
- 画面のスクロールが視界のジャンプを引き起こすことなどが、深い理解を妨げる要因として指摘されています。
デジタルの真価は「機能」にある
- ここが一番の注目ポイントです!デジタル読書は、クリックによるフィードバックやAR画像といった「インタラクティブ(双方向)な機能」がある場合や、ツール上でメモを取るなどの「読書戦略」を活用できる場合、紙の読書の効果を明確に上回ることがわかっています。
論文では、デジタルと紙はどちらかが優れているという対立構造ではなく、お互いのメリットとデメリットを補完し合う関係であるとまとめられています。
デジタル教材の制作会社として
デジタル教科書の本格導入に向けて、私たちデジタル教材を作る人間が向き合うべき課題は明確です。
単に「紙の教科書をそのまま画面に映しただけ(PDF化しただけ)」の教材では、長文を読む際のスクロールの疲労などが目立ち、深い読解において紙の教科書には敵いません。
しかし、読者のアクションに応じた的確なフィードバック機能や、ハイライト・メモといったデジタルならではの学習支援機能を効果的に組み込むことで、学習効果は紙を大きく超えるポテンシャルを秘めていることが、この論文でも裏付けられました。
これからは「紙かデジタルか」という二元論ではなく、「適材適所での使い分け」と「デジタルの強みである『インタラクティブ性』を最大限に活かした教材作り」が求められます。私たちも、子どもたちにとって最高の学習体験を提供できるよう、さらに質の高いデジタル教材作りに挑戦していきたいと思います!
最終更新日: 2026-04-08

