eラーニングとコーチングの相乗効果。教えると引き出すの違い

勉強というとなんとなく座学であったり、独学であったりと、比較的狭い世界とイメージで考えがちです。ですが、近年ICTの目覚ましい進化により、これまでの常識を打ち破るような学習法や、能力の身に着け方が登場しました。今回は、その一つである、eラーニングとコーチングの併用についてです。

ティーチングとコーチング

これまで教育の主流であったティーチングは、基本的には知識を与え、どちらかというと画一的な学びを与える技法です。一方コーチングは、本人の力や気づきを引き出す技法で、個人と向き合う時間が必要になるため、集団の学習には向きにくいところがあります。

具体的には、学校教育の場で多く採用されてきた授業はティーチングの典型例です。一人の先生が数十人の生徒を相手にする際には、ティーチングは適しています。また、画一的な知識や、正解がはっきりとした問題を解く事を目的としている場合は、効率的な勉強法といえるかもしれません。

コーチングが適している例は、個人の能力を引き出し、その人に会ったプロセスで成長を遂げさせる場合です。この場合は、決まったゴール設定が難しく、人によっては想定しないような成長を遂げることもあるでしょう。その分、コーチングには時間がかかります。例えばオリンピックのコーチは、選手のような世界で戦えるような運動能力を持っていない場合がほとんどです。ですが、ティーチングと違い、コーチングは必ずしも見本を見せる必要はないので、自分が「トリプルアクセル」を飛べなくても、「世界新記録」を出せなくても、選手を金メダルに導くことができるのです。

eラーニングはティーチング

eラーニングの基本はティーチングです。eラーニングはオリジナルで教材制作を行ったとしても、ある程度多くの人に合うように作られており、個々の能力を引き出すといった目的においては、やや画一的といえるでしょう。中には、AIを利用し、個々の個別の課題にこたえるものや、分析を交えて、個人の持つ能力をより引き出す教材もありますが、まだまだティーチングの域を脱してはいません。

今後いかに個別の課題をクリアし、個々の能力を最大限に引き出していけるかが、eラーニングの課題ともいえるでしょう。

eラーニングとコーチングの併用

近年のeラーニングでは、eラーニングの学習とコーチングを併用し、自宅学習の質をより高めていく方法が実践されつつあります。基本的な知識をeラーニングで学んだあと、チャットやSkypeで質問や相談をするサービスに移行し、個別の「わからない」や「さらに能力を引き出す」に対応していきます。

これまで、距離があるとできないと思われていたコーチングが、ICTの進化と共に、遠隔地でも可能になってきたのです。これによって、地方であっても、海外であっても、質の高いコーチングを受けることが可能となりました。コーチングをうまくeラーニングと融合させることで、これまで以上の成果を出すことが可能となるでしょう。

教えて引き出す勉強法へ

これからの勉強法は、今までのように教わったことを「自分で復習して身に着ける」ではなく、さらにコーチングによって引き出していくことが望まれます。ただ覚えるだけ、問題が解けるだけの勉強では、今後求められる「機械にはできない仕事」「創造性」を身に着けることができません。もちろんこれまで通りのリアルでの学習法、教師と生徒が生のかかわりを持つことも必要でしょう。

ですが、距離や時間に縛られない方法で、今までの元気を超えた能力を引き出す。そんな学習法も、ぜひ試してみてくださいね。離れていてもコーチと二人三脚で進めることは、大きな励みになるはずです。あきらめていたあの先生の講義も、eラーニングとコーチングの融合で、気軽に受講できるようになるかもしれませんよ。