eラーニングに向かない研修・教材と取り入れ方

研修にeラーニングを導入したい。なるべくすべての研修をeラーニングにしたい。多くの社員を対象とした研修を行うときほど、座学をeラーニングに代えることは有効な手段です。とはいえ、すべてのカリキュラムをeラーニングに代えることは難しく、eラーニングに向いていない部分もあります。

eラーニングの弱点は記録に残ること

eラーニングの良さでもある学習の履歴や内容がしっかり残せること、繰り返し見ることができる所ですが、同時にデメリットになることもあります。研修の内容の中には、時に記録に残したくない、広く拡散はしたくない話も含まれるでしょう。特定の受講者だけに伝えたい話や、個人的な経験をもとにした話は、その時々の研修生には伝えることはできても、記録に残し、広く拡散されることは望まれない場合もあります。こういったケースでは、eラーニングのメリットである「記録し、反芻できる」点がデメリットになることもあるのです。

eラーニングには不向きな「オフレコの話」「リアルな感触」

eラーニングに不向きなのが「先輩」にあたる講師が「後輩」にあたる研修生に伝えたい「オフレコの話」です。特に自分の失敗談は、内容によっては広く拡散されたくないものが多々あるでしょう。ですが、研修生にとって「先輩の失敗から学ぶ」ことは貴重な機会であり、今後の成長や自身の失敗を避ける、または迅速にリカバリーするためには重要です。

また、根拠がまだ立証されていない、はっきりとした説明がつけられない方法でも「なぜかこうしたらうまくいった」経験はあると思います。そういったことを資料として配ることはできなくても、目の前の研修生に言葉として伝えたい。そんなケースもあるかもしれません。特に「仕事における対人関係」の部分では明確な正解はない、勘によるところが大いにあるでしょう。

また、細かな手作業など、なかなか言語化しづらい部分は体感してもらう方がよい場合もあります。感触を伝える技術などはまだまだ開発途上なので、現時点ではeラーニング化しづらい部分も多いでしょう。

配ったその日に回収したい特殊な教材

教材の中には、流出させたくないけれども学習効果が見込めることから一時的には配布したい。そんな特殊なものもあるでしょう。社外秘の資料は、研修終了後に回収するのであれば配布できるなど、特殊事情が見込まれます。こういったものは、いくらセキュリティを強化しても、eラーニングの形にはしにくいため、どうしてもリアルでの配布・当日回収が必要とされます。

また、一つしかない教材で、ぜひ手に取ってみてほしいものなども、eラーニング化に適さないでしょう。こういったケースでは、可能な部分をeラーニング化して、eラーニング化が適さない部分のみ、実地研修を行うといった併用が望ましいです。

実地は研修には欠かせない存在

実際の業務について演習やディスカッションを行う実地研修は、研修には欠かせない存在です。eラーニングや座学で得た知識を、アウトプットする機会にもなりますので、どこかで取り入れていく必要があるでしょう。一部は技術の進歩によってeラーニングに代えていけるかもしれませんが、まだまだeラーニング化できない部分も多いのです。うまく実地研修をeラーニングやデジタル教材融合させて研修効果を上げていきましょう。