リスキリングとは?― 導入のメリットやステップを紹介

リスキリング

リスキリングとは、新たな業務に必要なスキルや知識を習得することを目的に学習する取り組みのことです。現在、多くの企業がリスキリングを導入、または導入を検討しています。
この記事では、リスキリングとは何か、リスキリングが注目される背景、メリット、導入・運用のステップ等をご紹介します。

<目次>

リスキリングとは

リスキリングとは、新たな業務に必要なスキルや知識を習得することを目的に学習する取り組みのことです。

「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」

リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流:経済産業省

リスキリングが注目されている背景

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進

リスキリングが注目されている背景の1つにDXの推進が挙げられます。
近年は、多くの企業で、AIやIoTなどのデジタル技術により業務の効率化やイノベーション創出のためにDX化を進めています。DXを推進するためには、専門性の高いデジタル技術の知識・スキルを持った人材が必要になるため、リスキリングが注目されています。

リスキリングに関する表明

2020年のダボス会議(世界経済フォーラム)で「リスキリング革命(Reskilling Revolution)」が発表され、第4次産業革命に対応するために、「2030年までに全世界で10億人をリスキリングする」という目標が掲げられました。また、2022年10月に岸田総理は、リスキリング支援に5年で1兆円を投じること表明しました。

リスキリングとリカレント教育の違い

リスキリングは、新たな業務に必要なスキルや知識を習得することです。リスキリングは、比較的企業が主体となり、取り組む教育です。
一方、リカレント教育は、社会に出てから一度会社を休職・退職をし、大学などの教育機関で学び直すことを指します。また、リカレント教育は、個人が主体となり自ら学ぶことを言います。

リスキリングと生涯学習の違い

生涯学習は、生涯にわたって行うあらゆる学びのことです。学習分野は幅広く、学校教育ややスポーツ、ボランティア活動、文化的な活動、趣味など多岐にわたります。
一方、リスキリングは業務に必要なスキルや知識を習得するために学習します。

リスキリングの取り組みを行うメリット

業務の効率化

リスキリングにより、従業員が新たな知識やスキルを習得することで、仕事のクオリティの向上や業務改善、対応可能な業務範囲の拡大などにつながります。また、最新のデジタル技術を習得できれば、最新のテクノロジーの導入や活用ができるようになり、業務の効率化が期待できます。

新たなアイデアの創出

リスキリングにより、従業員が新たなスキルや知識を習得することで、考え方やモノの見方が広がり、新たなアイデアやイノベーションが創出されやすくなります。また、変化の激しい現代において、習得した最新技術のスキルや知識は変化に対応できる力となり、企業の成長、競争力の強化へとつながります。

人材不足の解消・採用コストの削減

人材不足が深刻化する中、DX人材を確保するには採用コストが大きくかかります。
このような状況でもリスキリングにより、必要な人材を社内で育成することで、採用コストを削減できます。

リスキリング導入の5ステップ

STEP1:人材像や必要なスキルを把握する

自社の経営戦略と連動した人事戦略を決めることが大切です。そのうえで、その人事戦略を行うためにはどのような人材とスキルが必要かを検討し、現状と理想からギャップ分析を行います。分析の結果、今後必要になると考えられるスキルに対して、現状はない部分がリスキリングの対象になります。リスキリングは自社の経営戦略と連動している必要があるため、自社の現状を把握する必要があります。

STEP2:教育体系の構築

自社において、今後必要になるスキルが把握できたら、従業員が持つスキルを把握し、教育体系を検討します。自社の経営戦略・人材戦略をもとに教育体系を構築する必要がありますが、はじめから難易度が高い学習を設定してしまうと、受講者の学習意欲が下がってしまう可能性があるため、段階的に必要スキルを習得できるように設定しましょう。

STEP3:学習環境を整える

リスキリングの実施方法には、集合研修、オンラインセミナー、eラーニング、通信講座などさまざまな方法があります。学習方法を幅広く用意しておくことで、学習者は自分に合ったリスキリングの方法を選ぶことができ、学びの促進につながります。

また、自社のリスキリングにマッチするコンテンツを用意することも大切です。しかし、専門性の高いスキルに関するコンテンツや、自社のリスキリングに必要なコンテンツをすべて用意することは容易ではありません。自社で用意できない場合は、外部講師による研修や、外部からコンテンツを仕入れる、外部サービスを利用する方法もあります。

自社の戦略や予算、運用に応じて、内製と外部利用を検討するとよいでしょう。

STEP4:リスキリングに取り組む

リスキリングは、仕事をしながら学習に取り組みます。そのため、従業員が学習に取り組みやすい体制・環境づくりとともに、従業員本人の希望や意思を尊重し、すり合わせながら進めることが大切です。

また、リスキリングを取り組むうえで、eラーニングの活用も有効です。eラーニングであれば、従業員は気軽に受講ができたり、人事や研修担当者などの管理者は全体の学習状況を随時確認ができます。

リスキリングに取り組む際には、従業員の学習状況や習熟度を見ながら、運用をブラッシュアップしていくとよいでしょう。

STEP5:習得したスキルを活用する

新たなスキルや知識は、インプットだけでなく、アウトプット(実践・行動)することも非常に大切です。可能であれば、現場や業務で実際に活用することが望ましいですが、すぐに実践が難しい場合は、組織内で習得した知識の共有や、学習者同士でフィードバックを行うこともよいでしょう。組織内でノウハウを共有することで、組織全体の知識も広がります。

学習モチベーションの維持

リスキリングは新たな分野を学習するため、簡単には習得できません。そのため、従業員の希望や意思を尊重し、目的を明確にすること、また、学習のモチベーションを維持するための仕組みを設けることも大切です。インセンティブ制度や絶対評価を取り入れる、業務時間内に学ぶ時間をつくるなど、従業員の学習意欲の維持、そして主体性を育む運用を検討しましょう。

まとめ

リスキリングとは、新しい業務や変化に対応するために新しい知識やスキルを学ぶことです。DX推進や人材不足などの背景により、多くの企業がリスキリングの導入、または導入を検討しています。リスキリングに取り組むことで、業務の効率化や新たなイノベーションの創出などが期待できます。


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