激動のVUCA時代到来!― 求められるスキル・変わる人材育成

VUCA

近年における社会の変化は、これまでにない新たなステージへ時代が移り変わる前兆のように、世界が目まぐるしく変化し、どこか掴みようのない不確実さと複雑で曖昧な「VUCA(ブーカ)」時代に突入しています。

近年の世界情勢を歴史で例えるなら、大航海時代を思わせる予測困難な世界と言えます。宝の山に到達するまでは不確実な世界が続くため、何が起こるか分かりません。確かなことは、暗闇の先には宝(新たなニーズと価値観で社会を変革する力)があり、宝を手にした者がビッグチャンスを掴むことから、チャンスの時代とも言えます。

そこで重要になるのが激動の荒波に耐え、柔軟に舵をきれる優秀な人材です。VUCA時代は、どんなビジネススキルが求められ、企業の人材育成はどう変わるのでしょうか。

<目次>

VUCAとは

VUCA(ブーカ)とは、世界的に予測困難な社会情勢を表した4つのワードの頭文字で構成された造語です。

  • V:Volatility(変動性)
  • U:Uncertainty(不確実性)
  • C:Complexity(複雑性)
  • A:Ambiguity(曖昧性)

近年における社会の変化は、正にこの4つの言葉で表現できるのではないでしょうか。テクノロジーの進化や、新型コロナウイルス感染症の影響から私たちの生活は一変し、時代は激しい変動期に入ったことが伺えます。

今まで当たり前だった常識、価値観はVUCA時代の到来によって通用しなくなり、それはビジネス界でも同じことが言えるため、これまでとは全く異なる新たな常識・価値観が定着するまで、不確実で複雑な曖昧な世界が漂うことになります。

予測困難な社会情勢を表した「VUCA」

VUCAはもともと第二次世界大戦後、東西冷戦(アメリカ vs ロシア)が終結した後の米軍で使われていた軍事用語です。それまでの激しい戦いから透明性を失った複雑で曖昧な社会情勢、予測が困難な状態を表す言葉として使われていました。

その後、戦いは戦場からビジネス合戦へ移り変わったことから、使い方はそのままに、軍事用語からビジネス用語へと受け継がれ現代に至っています。

VUCA時代を生き残る「鍵」

日本は、先行きの見えないVUCA時代を少子…超高齢化社会へ突入しながら、経済のグローバル化と国際市場のゲームチェンジに参加しようとしています。よって、今まで通りのやり方を続けていては時代に乗り遅れるだけでなく、生き残ることすら難しいと言えるため、企業や組織のシステムDX(デジタル・トランスフォーメーション)を早急に進める必要があります。

そのため企業や組織で重要になるのが、ITに関する専門知識や技術を有する人材の確保です。ただ、ITスキルだけ求めていても国際レベルでの競争に立ち向かい、打ち勝つことは困難と言えます。

なぜなら日本の企業は、いまなお戦後に根付いた古いしきたりの雇用制度を継続する企業が多いからです。「終身雇用」「年功序列」「新卒一括採用」といった、安定雇用をいつまでも継続しているようでは、変化の激しい時代を生き残ることはできません。

激動のVUCA時代を企業が生き残るには、今までの人事マネジメントの変革が重要であり、その「鍵」となるのがズバリ!「人材」です。

企業は、今まで以上に明確なビジョンを持って経営戦略を立てる必要があり、VUCA時代の経営戦略の中心は「人材」にあることを理解することが重要なポイントと言えます。

VUCA時代に求められるスキル

大航海時代を思わせる激動のVUCA時代に求められるビジネススキルとは、荒波にも耐え、柔軟に舵をきれる人材スキルです。

いま、在職中の社員も働き方のスタンスをシフトすることが求められています。受動的なスタンスから、能動的なスタンスに切り替え、企業で働く「人材」から、企業財産の一部としての「人材」を目指すことがVUCA時代を生き残る重要なポイントになるのです。

なぜなら、VUCA時代は安定で乗り越えるのではなく、「新しい風」を呼び起こすイノベーションが鍵だからです。企業に依存した従順な社員のままでは時代に乗り遅れるだけでなく、企業は変化に強い組織づくりができない為、国際競争に打ち勝つことが不可能と言えます。

社員ひとりひとりがビジネスの本質を理解した上で、自ら考え行動する人材が求められているのです。

VUCA時代に求められるビジネススキルとは、一体どんなものがあるのでしょうか。

ITスキル・セキュリティスキル

VUCA時代の国際競争に参加するには、日本の企業や組織が遅れているデジタル改革が重要です。そのためには、早急なシステムDXが求められることから、専門的なITスキルを有する人材が求められています。

ただ、VUCA時代は、働き方も出社型から在宅勤務やテレワークがメインとなることから、社員ひとりひとりが遠隔での業務を遂行する上で、ある程度のITスキルが求められ、それと同時に、企業や組織の情報資産を守るためのセキュリティスキルも身につける必要があります。

主体的に物事を考える力

変動の激しいVUCA時代は、想定外な出来事が起こる可能性も増えるため、普段から問題意識を持ち、考える ➡ 分析する ➡ 判断する ➡ 行動する までのスピードが大切です。社員ひとりひとりが生きる上で、主体的に物事を考える力が求められているのです。

情報収集スキル

VUCA時代はある意味、ビジネス界の戦国時代と言えるため、『孫子の兵法』からヒントを得るなら「敵を知り己を知れば百戦危うからず」とあるように、勝つためにもっとも重要なのは「情報収集スキル」です。

いち早く社会情勢や市場の変化を察知し、情報収集することで顧客ニーズやライバルを知ることができ、企業の課題や弱点に気付くことができるからです。情報収集をする際の注意点として、近年ではフェイクニュースも多くなっているため、情報の真偽を冷静に見つめ、分析・判断する目が必要と言えます。

また、国際間でのビジネスの場面では、世界や社会情勢、国の情報(宗教・歴史・文化・価値観)、考え方に至るまで複雑に絡み合った問題が発生しやすいことから、事前に取引国のビジネス習慣を収集し、理解することも重要になります。

変わる人材育成

求められるビジネススキルが変われば、企業の人材育成も変わります。全員が整列して前を向いている組織よりも、多様性に満ちた全方位型の組織の方が変化に柔軟かつスピーディーに対応できるため、VUCA時代にマッチした組織と言えます。

そのためには、日本は安定雇用を重視した「ファミリー組織」が定着していますが、VUCA時代のビジネス戦略として欧米型の「ジョブ型雇用」が変化に強いため、シフトチェンジが求められています。

多様性重視の教育「eラーニング」

社員のもつ多様性を重視することは企業経営にとって、全方位型で隙のない経営が可能になるため重要です。そのために必要なのが、個人学習のeラーニングによる社員教育です。近年、人材育成にeラーニングを導入する企業が増えています。

eラーニングには、全社員の育成に必要なカリキュラムから(ITスキルやコンプライアンス・メンタルヘルスなど)、社員ひとりひとりの専門性や興味・関心に繋げるカリキュラム(語学・経営学・MBAメソッドなど)まで、豊富なカリキュラムが揃っているからです。

継続する社員教育「リカレント教育」

近年、社会人の学びとして「リカレント教育」による継続した学びに注目が集まっています。これからの時代は、企業で行う社員育成の場面においても継続可能なeラーニングを利用した教育が重要なポイントと言えます。

なぜなら、時代の歩みにより新しい知識を得なければ、せっかく蓄えてきた知識も宝の持ち腐れになるからです。常に新しい情報に触れ、知識をアップデートしていかなければ、いざ!という時に使い物にならないといったことになりかねません。

企業は、社員の多様な価値観やスキル、能力や強みを最大限に引き出すことで、経営力を強化し、生産性・競争力をアップさせることが可能なのです。

まとめ

激動のVUCA時代を生き抜くポイントは、企業も社員も今までの常識を捨て、新しい価値観・考え方を受け入れるための意識改革から始まります。

社員も企業も時代が求める働き方・ビジネススキル・人材育成がカギと言えます。

企業に求められることは、明確なビジョンを持ち、社員の強みを継続して教育するバックアップ体制と、人材を適材適所に配置することで経営力を強化し、生産性と競争力をアップさせて乗り越えることです。